歯のクリーニングは自宅と歯医者で何が違う?落とせる汚れ・頻度・メリットを解説

「毎日磨いているのに、歯医者で磨き残しを指摘された」
「自宅の歯磨きと歯医者のクリーニングは、何が違うの?」
このような疑問はありませんか?
自宅の歯磨きで落とせるのは、主に歯垢(プラーク)までです。歯石や細菌の強固な膜(バイオフィルム)は、歯科医院の専用器具でなければ取り除くことができません。セルフケアだけに頼っていると、気づかないうちに虫歯や歯周病が進行してしまうリスクがあります。
そこで本記事では、自宅と歯医者でのケアの違い、プロのクリーニングを受ける5つのメリット、セルフケアでは防ぎきれないリスクについて解説します。
自宅での歯磨き(セルフケア)と歯医者でのクリーニング(プロケア)の違い
自宅の歯磨きも歯医者のクリーニングも、歯をきれいにするケアです。ただし、落とせる汚れや使う道具、頻度は異なります。
落とせる汚れが違う
自宅の歯磨きで落とせるのは主にやわらかい歯垢です。硬くなった歯石や、歯の表面についた着色汚れは歯医者でのクリーニングで取り除きます。
歯垢(プラーク)は、歯の表面につく細菌のかたまりです。プラーク1mgには10億個以上の細菌がいます。歯垢は、だ液に含まれるカルシウムなどと結びつき、数日から2週間ほどで硬い歯石に変わります。歯石は歯磨きでは取れず、歯科医院の専用器具でなければ取り除けません。
使う道具と行う人が違う
自宅で使うのは歯ブラシやデンタルフロス、歯間ブラシです。
歯医者では、歯科医師や歯科衛生士が専門の器具を使ってクリーニングを行います。スケーラーという器具で歯石を取り除き、回転するブラシと研磨剤で歯の表面を磨き上げます。
行う・受ける頻度が違う
自宅での歯磨きは毎日行うケアです。日本口腔衛生学会など4学会では、フッ素(フッ化物)入りの歯磨き粉を使い、就寝前を含めて1日2回磨くことを推奨しています。
歯医者でのクリーニングは、定期的に受けるケアです。歯石のつきやすさや歯ぐきの状態によって異なりますが、3〜6か月に1回の受診を勧められます。
自宅の歯磨きだけでは防ぎきれないリスク
自宅のケアでは、歯ブラシが届きにくい場所と、落としきれない汚れがあります。取り残しが積み重なると、以下の3つのトラブルを引き起こす可能性があります。
磨き残しから気づかないうちに虫歯が進む
歯垢の中にいる細菌は、食べ物や飲み物に含まれる糖分をエサにして酸を作ります。この酸が歯の表面を覆うエナメル質を少しずつ溶かし、虫歯ができます。磨き残しが出やすいのは、次のような場所です。
- 奥歯のかみ合わせの溝
- 歯と歯の間
- 歯と歯ぐきの境目
- 歯並びが重なっている部分
- 詰め物や被せ物のふち
これらの場所は、鏡で見ても確認しにくいのが特徴です。特に歯と歯の間にできた虫歯は外から見えず、気づいたときには内部で大きく広がっているケースも珍しくありません。
歯石がたまり歯周病が進む
歯周病は、歯垢の中の細菌が歯ぐきに炎症を起こす病気です。歯石そのものが直接の原因ではありませんが、表面がざらざらしていて歯垢がつきやすいため、歯周病の間接的な原因とされています。歯周病が始まると、歯ぐきが赤く腫れ、歯磨きのときに血が出やすくなります。
歯周病が体全体の健康にも影響する
歯周病の影響は、お口の中だけではありません。糖尿病や動脈硬化、心臓の病気などとの関わりもあります。
歯ぐきの炎症によって生まれた物質や歯周病菌が、血管を通って全身に運ばれるとこれらの病気を引き起こすことがあります。
歯科衛生士が行う「プロのクリーニング」で得られる5つのメリット
歯医者のクリーニングは、自宅のケアでは得られないメリットがあります。
①歯石とバイオフィルムが取れ、虫歯や歯周病の予防につながる
一番のメリットは、自宅では落とせない歯石とバイオフィルムを取り除けることです。
細菌のすみかが減り、虫歯や歯周病の予防につながります。仕上げに歯の表面をなめらかに磨くため、汚れがつきにくくなり、次の受診までのセルフケアも楽になるでしょう。
②着色汚れが落ち、歯本来の白さに近づく
コーヒーや紅茶、赤ワイン、たばこによる着色は、歯磨きだけではなかなか落ちません。研磨剤の多い歯磨き粉で強くこすると、歯を傷つける恐れもあります。
歯医者では専用のペーストで歯の表面をやさしく磨き、着色を取り除きます。
③口臭のもとになる汚れが減る
口臭は、お口の中の細菌がつくるにおいが原因になることがあります。歯垢や歯石を取り除くと、においのもとが減り、口臭の予防や改善が期待できます。
④高濃度のフッ素で虫歯に負けにくい歯を目指せる
クリーニングのあとには、歯にフッ素を塗ることがあります。フッ素には、再石灰化を助けて、歯を酸に溶けにくくする働きがあります。
歯科医院で塗るフッ素の濃度は9,000ppmです。ppmはフッ素の濃さを表す単位です。大人向け歯磨き粉の推奨濃度は1,400〜1,500ppmなので、かなり濃いことがわかります。
⑤初期の虫歯や歯周病を早く見つけられる
定期的に通えば、痛みが出る前の小さな虫歯や歯ぐきの変化に早く気づけます。早い段階で見つかれば、削る量や通院の回数も抑えやすくなるでしょう。自分の磨き残しのクセを教えてもらえるのもメリットです。
お口の健康を守る鍵は「セルフケア」と「プロケア」の両立
自宅のセルフケアと歯医者のプロケアは役割が違うため、どちらか一方だけでは足りません。どれほど丁寧に磨いても、歯ブラシが届きにくい場所には磨き残しが生まれます。
反対にクリーニングを受けても、次の受診までの数か月は自分でお口を守らなければなりません。歯垢は食後数時間でつき始めるため、毎日のケアを休めばすぐに汚れがたまってしまいます。
セルフケアとプロケアを両立するために、次の5つを始めてみてください。
1.歯ブラシの毛先を歯と歯ぐきの境目に当て、小刻みに動かして磨く
2.フロスか歯間ブラシで歯と歯の間も掃除する
3.大人はフッ素濃度1,400〜1,500ppmの歯磨き粉を歯ブラシ全体(1.5〜2cm)に出す
4.磨いたあとのうがいは少量の水で1回にしてフッ素をお口に残す
5.3〜4か月後の定期検診を予約し、磨き残しのクセをチェックしてもらう
すべてを一度に始める必要はありません。できることから一つずつ取り入れ、無理なく続けられる習慣にしていくことが大切です。
まとめ
歯のクリーニングは、自宅と歯医者で役割が違います。自宅の歯磨きは、毎日つく歯垢を落とすケアです。歯医者でのクリーニングは、セルフケアでは落としきれない歯石やバイオフィルムを専門的に取り除くためのものです。
どんなに毎日丁寧に磨いているつもりでも磨き残しはあり、時間とともに硬い歯石へと変わってしまいます。痛みがないからと放置していると、虫歯や歯周病が進行し、全身の健康にまで悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。
数か月ごとに歯石を取り除き、毎日のケアを続ければ、健康な歯を長く保つことができます。定期的なクリーニングを毎日の歯磨きとセットにすることをおすすめします。